招待飛行の一日
(小5 男子児童)
仙台空港は広い。 白いかっ走路がどこまでも長く続いている。 その先に松林があった。 飛行機はダグラスDC三型だ。 にぶい銀色の巨体が太陽の光をあびてまばゆい。 町子ちゃんが、花たばを麻田機長さんにさしあげた。 タラップをのぼってうすぐらい座席についた。 そうじゅう席の後のかべにランプがついた。 ベルトをしめてくださいと書いてある。 みんなはベルトをしめてだまっていた。 エンジンの音がぐんと高くなったかと思うと飛行機はゆるゆると走り出した。 やがてぐんぐんとスピードを出し空港のたてものは見えなくなった。 飛行機はしぜんにふわりとうきあがって海上へ出た。 海はどこまでも青く、波は白くあわだっていた。 たくさんの島がぽつぽつと海にうかんでとてもきれいだ。 白い雪におおわれたざおう山がゆくてに見えたころ、飛行機は大きく左にまがりはじめた。 三十センチ四方の小さな窓からのぞくと、田んぼがマッチばこみたいだ。 だれかが「ベッドスクールが見えるぞ」といったが、どの建物が療養所なのかはっきりしなかった。 みやぎ球場が見え、やがて遠くに飛行場が見えてきた。人や自動車や家がぐんぐん大きくなってくる。 飛行機はいつ着陸したのかわからない中に、かっ走路の上を長く走り続けていた。
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