紅堂

学校だより「紅堂」

令和2年4月号

 令和2年度のスタートです!

 

「新年度にあたって」 校長 菅原 信治
 2月27日帰宅途中の車中で,そのニュースはラジオから流れてきました。臨時休業の要請です。一瞬耳を疑いましたが,北海道での学校休業が発表されていましたので,どこかの他府県でも休業措置をするのだろうとそのときは思いました。帰宅しTVニュースで「全国の学校・・・休業」大変な事態になったことを悟りました。
 翌日から教育委員会からの指示や関係機関との調整,保護者の皆様の御理解で本校の休業は3月2日から3月24日までとしました。保護者の皆様には大変な御苦労をおかけいたしました。その間の授業や卒業式,修了式,離任式などを中止せざるを得ませんでした。特に学業を修めた節目としての卒業式を中止せざるを得なかったことは,担任はじめ教職員一同大変落胆し残念に思っております。改めて保護者の皆様におわび申し上げます。この原稿を書いている今日は,学校再開に向けた準備と新学期を迎える準備をしているところです。この紅堂が皆様のお手元に届く頃には,学校も再開していることと思います。

 さて,このたびの教職員異動により9人の先生方とお別れし,4月から新たに13人の教職員が着任いたしました。今年度は児童生徒36人,教職員は看護師を含めると56人でのスタートです。小学部には3人,高等部には6人の新入生を迎えました。新型コロナウイルスの感染防止に努めながら安心で安全な学校運営を行って参ります。保護者の皆様の御協力が何より必要です。様々な機会でお力添えをいただきたいと思います。

 今年度は学校教育が大きな転換期を迎えます。小学校・特別支援学校小学部で新学習指導要領の完全実施となります。本校においても新しい時代,新しい学習指導要領のもと,社会の変化や時代に対応した教育課程・教育内容を検討し実践してまいります。その一つの取り組みとして2学期制に移行しました。児童生徒の発達や病気の状態に合わせ,長い期間での指導ができるメリットがあります。中学部・高等部でも教育課程の一部改訂をしております。中学校・特別支援学校中学部は翌年令和3年度(2021),高等学校・高等部は令和4年度(2022)から新学習指導要領の完全実施となります。
 今年度も児童生徒一人ひとりのかけがえのない学校生活を,わたしたち教職員は全力でサポートしていきます。保護者の皆様や病院スタッフの皆様,地域の皆様に信頼していただける学校を目指し,教職員一丸となって努力してゆく決意でございますので,保護者の皆様にも本校教育活動に対する御理解と御協力を重ねてお願い申し上げます。

 

~今年度の学校経営方針~
1 学校教育目標
自らの病気や障害を乗り越え,力いっぱい努力して明るく生きがいのある生活をおくることができる児童生徒を育てる。

 

4月の行事予定

20日(月) 

新転任式 第1学期始業式
在校生午前授業(11:30下校)
入学式13:30


28日(火) 循環器検診13:30


29日(水) 昭和の日

*4月に予定していた発育測定や検診等は延期します。

 

ドローンサッカーを体験しました!

 ドローンサッカーは韓国発祥のイースポーツで,ドローンを使って3次元の空間で行われるサッカーです。指先一つで機体を意のままにコントロールすることができる上に,チームで協力し合い誰とでも対等に戦うことが可能なスポーツです。飛び立つ瞬間の感動やモーター音,機体同士がぶつかる音に心が躍る,バーチャルではない現実の競い合いが目の前で繰り広げられます。
 本校では,2月19日「日本ドローンサッカー連盟」の企業チーム「オートバックスセブン」を招いて,デモンストレーションおよび生徒2チーム教員1チームによる総当たりの試合を行いました。もちろんハンデ無しの真剣勝負でしたが,教員チームは最下位の3位でした。
 詳しい内容は日本ドローンサッカー連盟ホームページ(japan-dronesoccer.com)に掲載されています。

 

令和2年2月号

 校内書き初め展が,1月22日(水)から2月6日(木)まで行われました。展示場所は,学校と病棟をつなぐ通路の壁面でした。
 小学部では,「とり」・「滝」・「ぼくの手」などのイメージを筆で自由に表現したものが物の本質をよくとらえていました。とても元気よく書いていました。
 中学部では,病棟での制作となり,水書道や指筆を使ったものを拡大して見事に表現していました。新春を表す飾り物も素敵でした。


 高等部Aコースでは,和紙の色味をよく生かしてコースの統一性に優れていました。「眼鏡女子」「巨大車両」の言葉選びも好評でした。Bコースは,好きな四文字熟語を選んで書いていました。「有言実行」「初志貫徹」「前途洋々」など画数の多い文字を配置よく,のびのびと書いていました。Dコースでは,掛け軸や落款を用いて,落ち着いた作品に仕上げていました。水墨画風の作品も面白かったです。Eコースでは,濃墨の良さを生かして,インパクトのある作品を色紙いっぱいにはつらつと書いていました。

 保護者の方も見学にいらして,熱心に撮影をしていました。皆さん,力作ですねとお褒めの言葉をいただきました。

 

 

 

 卒業生(現在,A大学3年生)が,2月5日に「卒業生の話を聞く会」で,講演を行いました。困難を強みに変え,自己の人生を作り上げる姿には非常に感銘を受けました。以下,講演概要を紹介いたします。


 入学当初は,学校が嫌だった。私は,大学進学を目指しており,支援学校から大学進学はできないと考えていたからだ。しかし,西多賀支援学校入学後は,私の大学進学の目的を考慮し,それに合わせて先生方はカリキュラムを変更してくれた。

 学校行事の進路体験学習では大学を訪問した。進路体験学習は非常に重要な学習であるので,大事にした方が良い。
 受験勉強は病棟での学習であった。病棟では日々の生活を管理しており,学習を行うには難しい環境であったが,病院に配慮してもらい,9時まで勉強することができた。入院生活は苦しいことがあったが,同じ病棟の友人が支えになってくれた。西多賀支援の先生方,病棟の方々をはじめ,たくさんの方々の支援によって大学進学ができた。

 私が入学したのはA大学B学部である。この大学は重度の障害を持つ学生を受け入れたことがなかった。知らないものを受け入れる事はとても怖いことだ。受け入れについては,体制を整えないとなかなか難しい。入学に当たっては,A大学の職員,病院の職員,学校の先生方にもお世話になった。もちろん,本校の先生方の動きが出発点である。先生方が新しい道を開いてくれたと感じている。本当に苦労したのは先生方だと思う。A大学の先生も,協力的な人で非常に助かっている。

 今になって気づくことがたくさんある。当時は時間が進んでいくだけであった。しかし,当時の支援者のおかけで,現在の自分があることが分かる。当時はそれが分からなかった。

 自分には支援者であるヒーローがたくさんいて,そのおかげで大学に行けたことを今しみじみ感じる。灯台下暗し。自分は,西多賀で,最初は不安だった。西多賀でいいのかと思っていた。しかし,今考えれば,西多賀だからこそ進学できたとしみじみと感じる。この出会いがなければ今の自分は無い。皆さんも,その出会いを忘れないでいただきたい。就職も新たな道を切り開くということだと思う。
 皆さんもたくさんの人に関わってもらって生活していることを,絶対覚えておいたほうがいい。

 ノートライ、ノーチェンジ。挑戦しなければ変化はない。これは大学の先生がよく言う言葉で僕の好きな言葉である。

 思ったことが言えない自分が嫌いであった。何かやってほしいことがあっても、他人にとってはどうでもいいことであると自分に思い込ませてきた。しかし,病気があるので,自分だけで生活ができない。そのように自分の気持ちを飲み込んだら,誰も自分のことを分かってくれない。だから積極的に発言すべきでないかと,自分に言い聞かせている。大学卒業後は,ウェブデザイン、3Dのグラフィックとかの仕事につきたいと考えている。
 宮城はデザインをする会社が少ない。少ないから諦めるという考えは自分は持ちたくない。この気持ちを捨てないで行動したら,何か変わるんじゃないかと,今までの経験から,考えている。

 

 

令和2年1月号

「予測困難な時代」 校長 菅原 信治

 新年最初の紅堂です。今年もよろしくお願いします。昨年は,本校の様々な教育活動に対しまして多大な御支援と御協力を賜り,心より感謝申し上げます。
 令和2年(2020年)が始まりはやいもので1月も後半となりました。2月のカレンダーを見ますと4年ぶりに29日があり,1日得した気分になりました。今年は閏年,そして2020東京オリンピック・パラリンピックの年です。小職にとりましては,人生2度目のオリンピックです。ですが前回の東京オリンピックは1歳で記憶にもありません。今回は,世界中のアスリートが東京に集い競い合う姿を思う存分観たいと思います。
 さて,前回の東京オリンピックは昭和39年(1964年)10月10日に開催されました。その56年後に再び東京でオリンピックが開催されることを誰が予想し得たでしょうか。それも,パラリンピック(第1回は1988年ソウル大会)という障害のある人たちがスポーツで競い合うことなど予測不可能であったと思います。経済が発展し,社会の考え方が変わり,障害に対する概念も変化しました。守られる存在から社会で活躍することができる人,と理解されてきています。「障害は人にはない,障害は社会にある」との考えも広がりました。このような変化の背景には少なからず,特殊教育や今日の特別支援教育も寄与しているものと私は考えています。その特別支援教育がさらに変化を遂げるのも今年です。小学校・特別支援学校小学部は令和2年度から,中学校・特別支援学校中学部は翌年令和3年度,高等学校・特別支援学校高等部は令和4年度から新学習指導要領の完全実施となります。新学習指導要領では障害者の権利に関する条約をはじめとする関係法規の理念に基づき,インクルーシブ教育が色濃く反映されております。また,学校で学んだことが,子供たちの「生きる力」となって,明日に,そしてその先の人生につながってほしい。これからの社会が,どんなに変化して予測困難な時代になっても,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,判断して行動し,それぞれに思い描く幸せを実現してほしい。そして,明るい未来を,共に創っていきたい。2020年度から始まる新しい「学習指導要領」には,そうした願いが込められています。(文科省HP引用)
 たとえば,スマートフォンがこんなにも普及し,便利に使えると10年前に思い描いていたでしょうか。スマートフォンがあれば電車にも乗れるし,買い物でお金も支払えます。カメラにもなればメモ帳にもなる。スケジュールを管理してくれて,予定の時間が近づくとアラームで知らせてくれます。地図ソフトを使えば迷わず目的地に連れて行ってくれます。映画や新幹線のチケットでさえスマートフォンから予約購入ができます。
 本校においても予測困難な新しい時代,新しい学習指導要領のもと,社会の変化や時代に対応した教育課程・教育内容を編成し実践します。2学期制に移行したのもその一環です。ICT機器が多く授業に取り入れられ,新しい学びの形が児童生徒の個性に応じて準備されるようになってきております。これから始まる児童生徒一人ひとりのかけがえのない学校生活を,わたしたち教職員は全力でサポートしていきます。

 

 

 三学期始業式を行いました。

 南1-2病棟でもベッドサイドで始業式を行いました。師長さん・看護師さんのご協力で行うことができました。ありがとうございます。児童生徒は,新年の抱負を抱きながら笑顔で始業式に参加していました。本校では複数の教育課程で児童生徒の学習を展開しています。それぞれの内容は異なりますが,西多賀支援学校の児童生徒として一生懸命学習に取り組んでいます。三学期はその学年の最後の学期です。今年も自己の目標に向かって学習を進めて行くことでしょう。充実した1年にしてください。

 

 校内書き初め展に向けて,児童生徒は,書き初めに取り組んでいます。お手本を見ながら,どのように筆を動かせば良いか先生から指導を受けています。素晴らしい作品ができあがることでしょう。
 校内書き初め展は1月22日から2月6日まで,西多賀病院と西多賀支援学校を結ぶ連絡通路で開催致します。是非ご覧ください。

  

令和元年12月号

 

 ロボットプログラミング選手権大会に参加しました。この大会は,小学校で来年度から「プログラミング教育」が始まるのを前に,特別支援学校の児童生徒に活躍の場を作ろうと,全国特別支援学校病弱教育校長会が初めて開いた大会です。大会は,全国を5ブロックに分けて,年内に地区大会を実施し,来年1月24日に全国大会を行う予定です。

 北海道・東北地区大会は11月20日に行われました。北海道の支援学校2校と西多賀支援学校の3校4チームが参加しました。本校高等部からの参加者のKKさん,SHさんのプログラミングのデータを北海道の八雲養護学校に送り,インターネットのテレビ電話システムでロボットによる相撲大会を観戦しました。対戦への緊張とテレビ電話システムを初めて利用することから,二人とも表情がややこわばっていましたが,優勝という結果がでたときには笑顔で静かに喜んでいました。

   

 

 本校は支援学校です。児童生徒の実態は多様であり,効果的な指導を行うための工夫は必要不可欠です。今回は,この様々な工夫を紹介します。すべてを紹介することはできませんが,実際の指導に触れていただければ幸いです。

 

高等部Aコース自立活動

 高等部Aコース生徒の自立活動では,視線入力に取り組んでいます。手足が思うように動かせなかったり,言葉で伝えることが難しかったりする生徒にとって,視線は自分の気持ちを伝える重要な手段となります。パソコンに視線入力装置を取り付けることで画面上のどこに視線を向けているかが表示され,動画に出てくるキャラクターを目で追う学習や,複数の画像の中から好きな画像をじっと見ることで選択する学習などを行っています。視線で文字を入力したりパソコンを操作したりすることもできるので,今後も様々な学習の場面で取り入れていきたいと考えています。

   

 

高等部体育科

 高等部体育科では,生徒の実態を考慮し角形のペットボトル二つをつないだラケットを用いて,ゴロで打ち合う卓球を行っています。シングルスやダブルスはもちろん3対3でも行える上に,バレーボールの要素を盛り込みパスやブロックを行うこともできます。反射角を利用して見方のラケットに意図的に当てる攻撃も有効です。本校では「ローリング卓球」と命名しスリリングな試合を楽しんでいます。

  

 

音楽科

【ピアノの構造】の授業では,ピアノのふたを外して音の出る仕組みを学びました。内部をのぞき込む姿勢をとるのが難しい生徒も,iPadのカメラ機能を使ってピアノの奥までじっくり観察することができました。

 

【箏】では,ギター用の爪をペン先に付けたものを口にくわえ,上手に演奏する生徒がいます。演奏しやすい高さに箏を持ち上げることで,演奏を楽しむことができます。

【ヴァイオリン】の弓をにぎることが難しい生徒は,弓を手に固定する工夫をします。100円で購入できる,椅子の足カバーと面ファスナーテープでしっかり固定すれば,教師が手を添えたりせずに自分の力で弓を動かし演奏することができます。

   

 

 

 

 本校では県立精神医療センターの児童生徒にも授業を行ってます。毎週,月曜と木曜の午後,入院している児童生徒の学習支援のため、本校教員がこのセンターを訪問しています。

 センターには学習室があり、学習支援に参加する数名の児童生徒がほぼ1対1の形で教員と一緒に勉強しています。

 いろいろな制約があるため、この学習支援は週2回、それぞれ1時間だけです。センターを退院する時に「入院中も学校の勉強を続けてきた」という自信のようなものを持ってもらいたい,と願い訪問しています。

 

 

令和元年11月号

 

  高等部では,10月28日(月)~11月1日(金)にかけて,進路体験学習を行いました。各生徒は自己の進路を実現するには何が必要なのかを考え,進路体験学習に臨みました。11月6日(水)の進路体験報告会では,パワーポイントを使い各生徒が学習した内容を発表しました。初めての現場実習で戸惑ったことや,仕事に対する取り組み方を学んだことなど,学校では学べないことを体験し働くことの意義を実体験することは非常に意義のあることです。今回の進路体験では,様々な取り組みが行われました。異なる環境において,いかに自己実現を図るかは大きなテーマです。それぞれの生徒の成長を見ることができた有意義な進路体験報告会でした。

 

 

   11月10日(日)に藤崎を会場に特別支援学校文化祭,そして,県庁ロビーではみやぎ産業教育フェアが開催されました。本校からも高等部の生徒が参加しました。藤崎本館サンモール一番町側特設会場で行われた文化祭発表の部では「見せよう!我らの西多賀魂!!」と題し映像発表を行いました。また,藤崎一番町館3階では,パネル展示を行いました。みやぎ産業教育フェアでは本校生徒が製作したイラスト製品,ビーズ製品などを販売しました。いずれの会場でもたくさんの来客があり,生徒の皆さんも一生懸命活動していました。生徒の感想を紹介します。 

     

●2年目のさんフェアに参加しました。去年のさんフェアでは,商品があまり売れなかったので,今回のさんフェアでは完売できてうれしかったです。さんフェアまでは商品を一生懸命作ることが大変でした。(SKさん)

●前日まで風邪を引いていたので当日参加できるか不安だったんですけど,当日は無事参加できたのが良かったです。さんフェア前日まで,みんな,商品の準備をがんばっていたので,たくさん売れてよかったです。(TKさん)

●今回初めてのさんフェアで,きんちょうしたけど,自分で作ったものが売れてうれしかったです。一番難しかったのは,メガネチェーンでした。一つ一つのビーズが細かくて,大変でしたが,売れたときはうれしかったです。来年もたくさん売りたいです(ASさん)

 

 

    小学部では11月5日に芋掘りを行いました。春に植えた苗からたくさんのサツマイモが出来ました。児童の皆さんは大きなサツマイモでびっくりしていました。収穫したサツマイモでスイートポテトを作りました。皆で協力しておいしいスイートポテトになりました。

    

 

 

 Dコース(高等部)ではハロウィーン集会を行いました。先生も生徒も思い思いに仮装し,ハロウィーンを楽しみました。普段と異なる環境は生徒の皆さんにも新しい刺激を与えます。来年度の仮装も楽しみですね。